はじめに
雨の日や冷間時にエンジンからキュルキュル音が…放置するとベルトの損傷や走行中のトラブルにつながる可能性も。今回は、ハイエース200系(1型ディーゼル 2KD)のファンベルトとベアリングをDIYで交換し、異音を解消する方法をご紹介します。
症状初期
雨の日のエンジンかけ始めにキュルキュル音がして走り始めたらすぐ消える。
症状が進行すると
雨が降っていなくてもエンジンかけ始めに音が出る。
走り始めてもなかなか音が消えない
キュルキュル音も大きく、恥ずかしいレベルになってきたのでファンベルトとアイドラー×2、テンショナーを交換します。
※上記の予定でしたが思ったよりも費用がかさみそうだったのでアイドラーとテンショナーはベアリング打ち換えにて対応することにしました。

用意するもの!
- ファンベルト 90916-02524(トヨタ純正) 7,698円
- アイドラーベアリング4個 6301LLU(NTN製) 447円×4個
- テンショナーベアリング1個 EPBD17-29 7,800円
- 14mmメガネレンチ、長めのスピンナーハンドル、14mmソケット(出来れば12角)
- ベアリングを打ち換える治工具
ベアリングのうち替えには僕はプレスを使用しましたがベアリングプーラーでやっている方が多いようです。
テンショナーベアリングは特殊なサイズなのかモノタロウになかったので僕はアマゾンで購入しました。
「アイドラーベアリング \447/個」に対して「テンショナーベアリング \7,800」と高額でしたがテンショナーを丸ごと買うと\32,978もするので今回はこちらを選択しました。

作業開始!
まずは助手席ドアからエンジンフードをあけます。
運転席側はあける必要はありません。


すぐにベルトにアクセスすることが出来ます。

まずはテンショナーを緩めてベルトを外します。初めて自分でベルトを外す人は細かく写真を撮ってベルトのかかっている位置を記録しておくとよいと思います。
→画像のボルトに14mmの工具をかけて時計回りに回すとテンショナーが動いてベルトが緩むのでその状態を維持しつつベルトをずらして外します。
(僕は整備士の時からずっと使っているブルーポイントのロングラチェットメガネで緩めています。工具にはあまりよくないんだと思いますがとても楽なのでいつもこれを使っています)
ベアリングを交換しない場合はここで新品のベルトへ付け替えて終わりです。
アイドラー1のベアリングを交換

ベルトが外れたらまずは上側のアイドラーを外します。
画像のボルトに14mmの工具をかけて反時計回しでボルトを緩めます。


今回はプレス機を使用してベアリングを抜くので受け側と押す側でそれぞれ合うサイズのものを探します。
受け側は単管パイプの切れ端が丁度良いサイズだったのでこれを使用します。

押す側は13mmのソケットを使用します。

プレス機にセットして抜いていきます。

あっさり抜けました。プレスがないとこうはいかないと思います。
一つのアイドラーにベアリングが2個入っています。


圧入する前にアウターに薄くグリスを縫っておきました。

まっすぐ圧入するためにプレスを使用する前にハンマーでコツコツと軽くたたいて少しベアリングを入れておきます。
(新品のベアリングを直接たたきたくないので古いベアリングを上にのせてそれをたたきました)

プレスを使用してベアリングを1個ずつ圧入していきます。
今度は27mmのソケットが丁度よさそうだったのでこちらを使用して圧入していきます。
(ベアリングを圧入する際は必ずベアリングアウターを押して圧入します。ベアリングインナーを押したり叩いたりするとベアリング破損につながってしまいます)

プレスで圧入します。
1個目のベアリングを奥まで入れたら同様に2個目のベアリングを入れます。
ベアリングが入れ終わったら元の位置にアイドラーを戻してアイドラー1は終了です。
アイドラー2のベアリングを交換する!
アイドラー2とは言ってもやることは同じです。
赤丸の位置のアイドラーを外して同じことを繰り返しました。

テンショナーのベアリングを交換する!
続いてテンショナーです。
ベアリングのサイズが変わりますが基本同じですね。

さっきは時計回りに回してベルトを緩めましたが今度は反時計回りに回してボルトを外します。

外れました。

今回は裏側になにもついていません。


今度は単管パイプでは大きさが足りなかったのでどうしようかと思いましたが「ハイエースのフロントハブベアリングを外した時のインナーレース」が丁度良いサイズでしたのでこれを受けにします。
押す側は32mmのソケットの背中側を使います。

プレスにセットして抜きます。

抜けました。新品のベアリングとの比較

アウターにグリスを塗りました。

古いベアリングをあてがってハンマーでコツコツします。

今回はベアリング1個だけなのでプレスの際も古いベアリングで押しました。
完全に底まで押し切っても古いベアリングが抜けなくなることはありませんでした。
ベアリングが入ったら車体に取り付けます。
ベルトを戻して完成!

新品のベルトを取り付けて完成です。

お疲れさまでした!
最後に
今回の作業で、エンジンの異音が解消され、快適な走行が可能になりました。ベアリングの打ち換えはコストを抑えつつ効果的なメンテナンス方法です。DIYで交換した場合は整備記録が残らないので自身で年月日・距離を記録し、適切に管理していきましょう。